私は自治体や学校向けの情報モラル講演とは別に、福岡県内でスマホ講座を行っていますが、この数年でスマホを利用しているシニアの方がとても増えました。

講演で公民館や自治体主催の情報モラル講演の場においても、参加者の方でスマホを持っているというシニアの方は増えましたので、スマホやインターネットの普及は全方位で広がっているのだと改めて感じますね。

そういう中で、地域の子どもたちの育成を見守ってくださっている地域の大人の皆さんは、子どもたちのスマホやインターネットに関する指導をどのように捉えていらっしゃるのでしょうか。

講演の際によく耳にするのは

「私はスマホを使っていないから、よく分からない」

「私よりも子どもや孫たちの方が詳しいし・・・」

というようなお話です。

確かにスマホを持っていない方もまだ多数いらっしゃいますし、一方で子どもたちは就学前からネットに親しんでいる側面がありますので、そのようなご意見が出てくるのも当然でしょう。
これはシニアの方というだけでなく、スマホやネットとの関わりが少ない大人の方全般に言えることですが、私自身はそこまで身構えるものではないと考えています。

スマホを適正に操作し、ネットを適正に利用することが、ネットトラブルから子どもたちを守る一番の策だと考えていますが、その適正操作には段階というものがあります。

第一段階:スマホやネットの「目的」と「理由」を明確すること

最初は「何のためにスマホやネットを利用するのか」という理由や目的を意識させることです。

大人から見れば当たり前のようにも思えますが、特に小学生などは「おもしろい!」「やってみたい!」という気持ちの衝動が大きく、わけもなく興味を抱きます。
そこで使わせたいままに使わせてしまうと、目的も理由もなしに機械を操作し、情報を受発信することになります。

まずは何のためにスマホやネットを利用するのかという「目的」を明確にし、なぜ今スマホを使わなければならないのか?といった「理由」についても理解させるべきです。
目的も理由もなしにただ使わせているだけでは無防備過ぎますからね。

2段階:使う時間をコントロールし、約束を守る必要性を認識すること

次の段階では、スマホの操作やネット利用に関して、時間やルールという「枠」を意識させることが大切です。つまり行動を自制することを身に付けさせたいということです。

よく「子どもが動画ばかり見ている」とか「子どもが言うことを聞かない」といった親御さんの愚痴を耳にすることがありますが、この状態こそ時間をコントロールすることを意識していない、自制ができていない状態です。
(まぁ何においても子どもは言うことを聞いてくれないことが多いものですが・・・)

当然のことながら時間を守るとかルールを守るというのは、社会人として必ず必要になる基礎的スキルです。
スマホ(ゲーム)やネットの利用を通して時間を意識し、その中で使うことと、家の人との約束(ルール)を守ることの大切さを改めて説明しましょう。

3段階:正しい日本語を使い、適切な言葉づかいを意識すること

最後の段階は、スマホやSNSを利用して行われるコミュニケーションで最も大切なことで、いわゆる「言葉づかい」の適正化です。
暴言や意味不明な発言は論外ですが、極端に言葉を省略したり、自分にしか分からないような、遠回しな言い方がトラブルに繫がることがあります。
ただでさえ子どもたちは語彙が少なく、適切な言葉が上手に使えないかもしれません。それでも相手に分かるような言葉を選び、伝えたいことを伝えられるような気持ちが必要です。

「自分が書いてることは相手にも伝わるはず」という思い込みが、意図せず誤解を生んだりトラブルを招くことがないよう、できるだけ正しい言葉、正しい日本語を使わせたいですね。

いつも講演でお話ししていますが、スマホやSNSで情報に溢れた今の時代、「言葉づかいは技術」ですから。

スマホを知らなくても教えられること

さて子どもに情報モラルの指導を行う際に必要な3つの段階をご説明いたしました。
まとめると、

・スマホやネットの「目的」と「理由」を明確すること

・時間をコントロールし、約束を守る必要性を認識すること

・正しい日本語を使い、適切な言葉づかいを意識すること

いかがでしょう・・・いずれもスマホやネットに詳しくなくても、大人であれば教えることができるようなことばかりではないでしょうか。
人として当たり前の事ばかりに見えるかもしれません。

もちろんこれは基礎的な部分であり、もっと専門的に掘り下げればいろいろ指導すべきポイントは登場しますが、私としては基礎的なこの3点を守るだけでもほとんどのトラブルを回避できると考えています。

少し専門的だったり、最新の案件については、私がある程度は指導することができます。
しかしそれ以上に大切な基礎的な技術については、ぜひ地域の大人の方も積極的に発言していただきたいと思います。

スマホやネットの問題は家庭教育の問題だ!と言われてしまうこともありますが、そもそもスマホやネットの仕組みと社会を提供しているのは我々大人です。
すべての問題を家庭に押しつけるのではなく、地域の大人すべてが「自分のことなんだ」という思いを持っていただき、周りにいる子どもや若者たちに社会人の先輩としてアドバイスしていただけたらと思います。

先にシニアの方のスマホ普及が進んでいると言いましたが、大人も子どもが一緒にスマホやネットの活用法を話し合い、お互いにスキル向上に繫がるといいなぁと思いますし、お互いのスキルが上がれば、大人も子どももネットトラブルに巻き込まれない世の中になると思います。

大人の皆さん!
社会人の先輩として、ぜひ一緒に子どもたちの情報モラル指導に取り組みましょう!