YouTuber目指す大半の子が知らない厳しい現実
5/18(土)東洋経済オンライン
という記事がYahoo!に掲載されていました。
小学生を中心に、将来の職業としてYouTuberが上位に登場するという状況は2~3年前から起きています。
この記事では、YouTuberというのはリスクも多いし稼げない=将来の夢にするべきではない・・・というようにも取れるのですが、僕はそう思いません。
確かにYouTubeに動画をアップし、それで広告収入を稼ぐというのは大人でも至難の業ですし、職業にするのは相当な覚悟が要りますよね。
というか、そんなこと改めて言われなくても分かっています。
そんなこと言ったらプロサッカー選手になり、日本代表のメンバー入りを目指すことも至難の業でしょうし、宇宙飛行士だって超難関です。
それを「大変だ」とか「リスクが大きい」みたいにバッサリと斬ったら夢も希望もないんじゃないかと。
■YouTubeは子どもたちにとって憧れの場
現在小学生にとってYouTubeというのはテレビに匹敵、あるいはそれ以上に当たり前の存在ですし、憧れの場所でもあるのです。
10歳以下の子どもたちはYouTubeがインターネットであることを知らない子が多いし、そもそも子どもたちは面白い動画を観て喜んでいるわけですから、ネットだ、地上波だ、4K8Kだ、なんてことはどうでもいいことです。
その「憧れの場」に登場するタレントや選手に憧れを持つのは当然のことですし、将来の夢や職業としてYouTuberを挙げることはおかしなことでもありません。
■”将来YouTuber”は小学生の間だけ
学研教育総合研究所がリリースしている小学生白書の中で「将来つきたい職業」が記されており、2018年度版ではありますが、小学生全体で3位に付けています。(1位はパティシェ、2位はプロサッカー選手)
ただ学年別に見てみると、小学4、5年生はYouTuberが1位ですが、6年生になると9位まで下がります。
つまり子どもたちも、高学年になれば現実を見つめていると言うことなのでしょう。
直近のデータがありませんが、恐らく中学生以上にとっても、将来の職業については、自分の経験や周囲のアドバイスなどから現実的な職業を選択していると思われます。
YouTuberに憧れを持ち、自分もそうなりたいと思う子どもはたくさんいると思いますが、それが自分にできることかどうかは、当の子どもたちも理解しているのではないでしょうか。
■YouTuberは自己実現のための一手法でしかない
YouTuberに限らず、自分の夢を叶えたり、希望する仕事につくためには、たゆまぬ努力や苦労、悩みや決断が求められます。
ただ今回の記事のようにYouTuberを職業として考えることを「リスク」として警告するのは行き過ぎだと感じています。
そもそもYouTuberというのは自己表現のためのひとつの手段です。
社会に迷惑をかけたり、問題行動を起こすことは論外ですが、YouTuberやインフルエンサーを目指すことは自分のチャレンジングの過程なので、むしろチャレンジさせた方がいいと思っています。
■大人はどうアドバイスすればいいのか
それではYouTuberという夢を持った子どもたちに、私たち大人はどのようにアドバイスすればいいのでしょうか。
大切なことは「無理だ!」とか「やめとけ!」と決めつけないことです。
社会経験を積んだ大人から見ると、子どもの夢や同機は幼稚かもしれません。
我が子のことをよく知る親御さんから見ると、「うちの子には合わない」などと心配になるかもしれません。
それでもバッサリ切り落とすのは得策ではありません。
それなのに親から「お医者さんがいいんじゃない?」とかアドバイスされたら、子どもたちも「お医者さんが良くてYouTuberはダメなの?」と矛盾を感じるでしょう。
まずは最初に「YouTuberになれた自分」というイメージを持たせることから始めましょう。
・YouTuberになって伝えたいことはなんですか?
・YouTuberになったら、世の中がどうなると思いますか?
・その内容は自分が大好きで、もっと勉強したいと思えることですか?
・YouTuberになるために、どんな頑張りが必要ですか?
子どもが将来YouTuberになることで、どんな将来が待っているのかを想像でもいいので家族で話し合ってみましょう。
そしてそれに向かうために必要なことを整理していきます。
もちろん結論は出さなくてもいいのです。
子どもたちが思いつきで、漠然としたものを、形としてイメージできるような「緩いフレーム」を作ってあげるだけです。
YouTuberに限りませんが、子どもたちは見たり聞いたり、体験したことでしかイメージはできないのです。
ですので、親や大人が、そのイメージ作りを補助するという感じだと思います。
折角子どもが夢を持ち始めているのです。
わざわざ芽を摘むことはしなくても良いと思います。
■YouTuberリスクは、夢を果たすための”課題”
一方で、ネット上に情報を公開することが、デジタルタトゥーとして残り続けることや、社会性が乏しい状況で誤った情報発信をおこなってしまう可能性はあります。
また自分の想像を超えて拡散したり、取り返しのつかない状況を生むこともあるかもしれません。
この点はリンク先の記事と同意見ですので、リスクヘッジとして低学年からの情報モラル指導を行うことは、より重要と言えるでしょう。
ただ「危ない!」「やめとけ!」とだけ言い放つのではなく、なぜそれがリスクに繫がるのかということを指摘し、説明してあげることは必要です。
動画の専門的なことは知らない大人の方でも、LINEやSNSでなんとなく嫌な思いをしてしまうシーンは容易に想像できるはずです。
夢を叶えるために必要なことを話し合うのと同時に、デメリットやリスクを削るために必要なことも話し合うべきです。
どうせなら嫌なことや怖がらせるようなことばかり言うのではなく、乗り越えなくてはならない「課題」として、前向きに解決策を考えさせるようにできればいいですね。
私としては、リスクを伝えることよりも先に夢を抱かせ、そこに向かって努力する気持ちを応援してあげたいと思うのです。
リスクを気にするあまり、若者に後ろを向かせたくありません。
同時に子どもを見守る我々大人が、セーフティーネットにならなければ!と、改めて自分自身にも言い聞かせています。
さぁ、我が子が「YouTuberになりたい!」といいだしたら、皆さんはどう動きますか?