新型コロナウイルス感染防止に伴う緊急事態宣言が解除され、少しずつ明るい兆しが見え始めた5月の終わりに、とても悲しいニュースが飛び込んできました。

テラハメンバー木村花さん急死、世界で追悼広がる。出演者のSNSいじめ社会問題に
ForbsJapan 2020年5月25日

女子プロレスラーであり、人気のテレビ番組「テラスハウス」に出演中だった木村花さん(享年22歳)が亡くなりました。
死因は公表されていませんが、漏れてくる状況から察して、木村花さんは自ら命を絶ったようです。
前途有望な若者が自ら命を絶つなんて、余りにも残念ですし、ご家族の気持ちを思うといたたまれない気持ちになります。

この悲劇の原因は、報道等で言われているところによると、彼女が出演している番組での発言や態度に対する一般視聴者の誹謗中傷が引き金になっているとのこと。
SNSへの誹謗中傷の書きこみが彼女を苦しませ、最悪の決断に繫がってしまったのです。

芸能界やスポーツの世界など、注目を浴びる仕事というのはたくさんあります。
そして活躍し、注目される人たちに対して多くの応援の言葉が寄せられますし、それと同じくらいに批判的な言葉を目にすることもあります。

木村花さんにしても、プロレスラーとタレントということで、多くのファン応援されている反面、中傷するような言葉も投げられていたのでしょう。
今回はその誹謗中傷が彼女の命を奪ってしまったことになります。

その誹謗中傷を投げつけた人たちは、テレビ番組という「メルヘン」に対して本気になってしまったのでしょうか。
正義の味方になったつもりなのでしょうか・・・。

未だに現実とメルヘンの区別が付かない人たちが大勢いることに開いた口が塞がりません。

SNSに寄せられた誹謗中傷は「意見」なのか?

さて結果的に彼女の命を奪ってしまった心ない誹謗中傷はSNSに集中していたといいます。
SNSとはインターネットさえあれば、多くの人が情報を共有できる「場所」ですが、本来は様々な意見や考えを気軽に見聞できる優れたシステムなのです。

SNSが一般的になって10年近く経ちますが、残念ながら未だにマナーやモラルを欠いた意見も見受けられます。
人それぞれに意見や感じ方があるのですから、SNS上でもいろんな意見が登場するわけですが、誰かを誹謗中傷したり、貶めるようなデマを発信することは「意見」ではなく不要です。

単に自分の欲求不満の捌け口として個人攻撃を行っているのだとすれば、それを気にして命を絶った木村さんが不憫でなりませんね。

SNSが荒れる背景

SNSやネット掲示板が荒れやすいのは、匿名性が高いということ、そして他人の意見が見えやすい点にあります。
今の時代、ネット上であっても個人特定はある程度可能なのに、「自分だけはバレない」と思っている人は非常に多いと聞きます。
なので誹謗中傷もバレないと思って心ない言葉を投げつけるんでしょうね。

そしてこれは大切なことですが、他人の意見を目にする機会が増えるというのは、貴重な機会であると同時に、自分とは違う意見が面白くなく、否定したいという感情が起き上がります。
特にSNS時代にはその傾向が強くなったと思います。

もっとも被害者である木村花さんも、多くの中傷の言葉が見えてしまったからこそ、悩み苦しまれたのだと思います。

それから社会的な状況も人の感情を左右させる要因になります。
今であれば新型コロナウイルスに伴う外出自粛など、行動の制約などが不満や鬱憤を生み出しているのでしょう。

(参考記事)行き過ぎた「自粛警察」“感情のコントロール心がけて”
NHKオンライン 2020年5月19日

SNSが荒れる背景はというのは、実は単純なことが多く、逆に言えば対応も難しくはありません。

つまりSNSを利用する人の心掛け次第で簡単に良くも悪くもなるということですね。

withコロナ時代に気を付けたいSNS利用

SNSが本来のチカラを発揮するためには、利用する一人一人の人間がマナー意識を強く持つことが必要です。
私たちはこれまでの成長の中で、
「人の悪口を言わない」
「差別をしない」
といったことを教えられてきたはずです。

それでもいじめ行為や差別発言というものはなかなか無くなりませんが、それでも自分だけでもマナーを守ろう!という思いを持つことは大切です。

SNSに限りませんが、相手を貶めるような誹謗中傷、デマなどは発言してはいけません。
それをネット上に投稿することは、自分の人生に永遠に消えない恥を残します。

今回、木村さんに誹謗中傷を投稿した心ない人たちは、複雑な思いを抱えているのではないでしょうか。
一生消えることのない恥や不安を少しでも解決するためには、自分の行いやマナーを正すしかないと思います。

新型コロナウイルスの影響で、人や社会はいとも簡単に不安と混乱の状態になってしまうことが分かった現在、
SNSの使用において、もう少し冷静で優しい気持ちを持つことが求められると思います。

SNSで起きることはヒトゴトではなくジブンゴト

今回のように全世界的に起こった緊急事態は、もうヒトゴトではありません。
世界中の人がマスクを着用し、密にならない新しい社会活動を送ろうとしています。

SNSで起きることも同様で、木村花さんの誹謗中傷事件も、ヒトゴトではないのです。

自分も誹謗中傷を受けるかもしれない・・・
そんなつもりはなかったけど、自分も加害者になってしまった・・・

テレビやネットニュースで見るようなトラブルは、常に自分にも降りかかる可能性が高いと思ってください。
自分が感情的になって吐いた言葉は、自分の意見として世界中に広がり、そして誰かに反論されることになるかもしれません。

スマホを手にしてSNSを利用しているのは、自分自身なのですから。

誹謗中傷を書かれた場合、どうするべきか

一番シンプルな方法は「気にしない」ことです。
あるいはSNS利用を中断して、リアルの世界と向き合う時間を増やしてはいかがでしょうか。
SNSの向こうにいる、見えない誰かに時間を使ったり、神経を尖らせるくらいなら、外に出て散歩をする方が心にも身体にもいいと思います。

・・・といっても、人間ですから、ついつい気になっちゃいますよねぇ。
ではガチで向き合って誹謗中傷と戦いますか?

今回の事件を受けて、発言力のある著名人達が、他人への誹謗中傷を戒める発言をしています。
中には「訴訟を起こします」と、目には目を!的な発言もあったりします。

確かに侮辱罪等、法的に相手を特定し罰することは可能なので、それも一つの方法かもしれませんが、
個人的にはあまりいい対応とは思えません。

「売られた喧嘩は買いますよ!」

みたいな発言はある程度の抑制力にはなると思いますが、結局はリアルな社会的にも「強い人」の発言なんだと思います。
チカラに対してチカラで相手をねじ伏せようとする行為は「いじめ返す行為」としか思えないんですよね。

大切なことは孤立しないこと

それでは著名人ほどの影響力がない私たちとしては、誹謗中傷に対してどう向き合えばいいのでしょうか?

実は明確な答えがあるわけではありませんが、自分一人で考えないことだと思っています。
ネットやSNSではオープンでありながら、パーソナルな世界でもあります。
明らかに自分に対する誹謗中傷だ!という投稿を見かけたら、まずは信頼できる友人や家族に話を聞いてもらいましょう。
「気にするな!」とか、なにがしかの声をかけてくれるかもしれませんし、これが本当に自分に向けられた誹謗中傷なのかを冷静に考えることができるかもしれません。

もしありもしないデマを書かれて、自分の社会活動にに大きなダメージを与えるような状況であれば、法的対応も致し方ありません。専門家に相談しながら、信用回復に努めてください。

とにかく気持ちの上で孤立しないことが大切です。
なかには相談できる人が周りにいない人もいるかも知れませんが、世の中には専門家やアドバイザーもたくさんいます。
できるだけ自分一人で解決しようとしないでください。
ネット上では「孤軍奮闘」にも限界がありますからね。

味方は必ずいます!

コロナの向こうにあるものは?

新型コロナウイルスの影響はまだ続いており、私たちの生活においても未だにこれまで以上の制約が付きまとう、息苦しい日々は続くと思います。
しかしその鬱憤や捌け口をSNSに求めるのは良くないと思います。

SNSは貴重な情報源です。
個人の不正不満よりも、有益な情報を見ることができるようであって欲しいし、みんなが元気になるようなメッセージを読みたいものです。

冷静かつ優しい気持ちを持ちながら、みんなが穏やかな気持ちを語り合えるSNS・・・
withコロナの時代のSNSは、本当の意味で人間味溢れたコミュニケーションの場として広がって欲しいと思います。

そして木村花さんのような悲劇が二度と起きないように・・・