今回から4回に渡って、ネットやSNSのトラブルから子ども達を守るために必要な心構えや環境作りに関して記していきたいと思います。

第1回目は保護者の管理監督意識についてお伝えしたいと思います。

小学生でもスマホを持つような話が聞かれるようになってから2〜3年が経ちます。
講演先である小学校の校長先生のお話を伺っていても、「高学年の子は結構スマホを持っている。」という認識がほとんどです。
ただ小学生児童の保護者の方に伺うと、子どもに専用のスマホを持たせているという方は以外と多くないように感じるのですが、日頃からインターネットに接している子ども達が大勢いることには間違いないでしょう。

そういう中で、我が子にスマホを持たせる時に、保護者としてはどのような考えや準備が必要なのでしょうか。

子どものスマホ管理のために確認すべきこと

未成年の我が子にスマホを持たせる際にチェックすべき点はどういうものでしょうか。

大雑把に言うと

「どうしてスマホを持たせる必要があるのか?そしてどんな使い方をしているのか?」

という原点と現状の確認が一番重要です。

もう少し細かく分類すると、

1.子どもにスマホを持たせる目的と理由
2.子どもにスマホを持たせるための条件とルール
3.子どもが使用するスマホや通信環境の設定
4.スマホやネット利用に関する親子の情報共有

といったポイントが最低限必要だと思っています。

我が子にスマホを持たせる目的と理由

最初に「スマホを持たせる理由はなんですか?」という点です。
子ども専用のスマホを持たせている保護者の方に「なぜ子どもにスマホを持たせているのか」について伺うと、大凡下記のような答えが返ってきます。

・(塾や習い事のお迎えのための)連絡用
・何かあったときの緊急連絡という防犯目的

まぁ持たせる理由としては真っ当だと思います。

連絡用途や防犯などの「目的」が、親子共に明確であれば、問題ないと思います。
もし目的以外の使い方が目立つようであれば、その旨注意ができますので、子どもへの指導や管理も的確に行えると思います。

しかしこういう理由も耳にします。

・子どもが持ちたいと言ってるから

ある意味正直な回答ですね。

子どもが欲しがっているから・・・という理由だけでスマホを持たせることは、目的もなくスマホを持たせていることを意味しますので、子ども主導、保護者が管理監督できない状況になってしまう可能性が高いでしょう。

もちろん子どもがスマホやネットを使うことで、学びやコミュニケーションが広がることもあるので、それ自体は悪いことだと思いません。
しかし小中学生であれば、SNS等のインターネットサービスの目的やメリット・デメリットをしっかり学んでいない児童生徒がほとんどなので、想定外のトラブルに巻き込まれる可能性はあります。
子どもがスマホを欲しがったとしても、保護者の方が必要性を感じないのであれば、まだ専用スマホを持たせるべきではないかもしれませんね。

いずれにせよ、我が子にスマホを持たせる時に、一番慎重に考えるべきポイントは「スマホを持たせるための目的と理由」だと思います。

この目的や理由は、子どものスマホ利用に問題が生じた際、最初に立ち返る「原点」となります。
既に子どもにスマホを持たせている場合でも、今一度スマホの目的や理由を話し合い、家族で共有して欲しいと思います。

子どもにスマホを持たせるための条件とルール

子どもがスマホやインターネットを利用するのであれば、家庭内でルールを制定することは絶対に必要です。
ただでさえオープンなインターネットの世界に触れるのですから、ルールを決めるというのは、その波にさらわれないように繋いでおくロープを準備することと同じ意味を持ちます。

つまり「スマホ(ネット)利用のルール」というのは、トラブルから身を守るための救命具の役割を果たすのです。

子ども達に聞いても、多くの仮定でスマホやネット利用に関するルールを決めているご家庭は多いように思えます。
使用する時間や時間帯、課金やアカウント登録に関することから禁止事項まで、各ご家庭でのルール作りはどこでも行われていると思います。
なかには「どういうルールにすればいいか分からない」という声を耳にすることこともありますが、専門的でなくてもいいから、某かの約束事を決めることは大切です。

よくある約束の項目は

・使用時間
・使用できる時間帯
・利用するアプリ
・課金
・SNS交流

といった感じではないでしょうか。

学年や利用目的にもよりますが、スマホの使用時間や時間帯については厳しく短めに設定してもいいと思います。
小学生であれば1日1時間でもいいと思いますし、中学生でも2時間程度で十分だと思います。
また利用できるアプリも電話やメール、LINE等の連絡ツールに限定するなど、目的に即したアプリ利用をルール化しましょう。

ちなみにスマホの利用時間やアプリの利用設定については、スマホ本体に「スクリーンタイム機能」で設定ができます。
この点については、後日の記事にてご説明いたします。

課金についてはゲーム内の購入や有料アプリの購入の部分になると思いますが、子どもだけで勝手に購入できないよう設定することで問題はないと思います。
SNS交流については、一番難しいところだと思いますが、最低限必要なルールは、

・知らない人との交流はしない
・ネットで出会った人と絶対に会わない
・自分自身のプライバシー情報を伝えない

といったところでしょうか。

課金やSNS利用に関するルールについては、ただ約束事を決めればいいというものでもありません。
内容も広範囲に渡るため、常日頃の利用チェックと情報共有を通して、適宜ルール変更を売るべきだと思います。
これを疎かにすると、大阪女児誘拐事件のような誘拐事件に巻き込まれることになるかもしれません。

通信環境の設定

通信環境というのは、子どもの持つスマホのモバイル通信契約やWi-Fi環境、フィルタリングのことです。

この点については、後日別記事として記す予定です。

スマホやネットに関する親子の情報共有

ルール作りなど、目に見える約束事も大切ですが、一番重要なのは保護者と子どもがスマホやネットの利用に関して、常に話し合える場を作ることだと思います。

スマホ、特にSNSの利用に関しては保護者の方がSNSを利用していないと的確に指導ができないという状況もあります。
仮に保護者がSNSを使っていたとしても、子どもが利用するSNSのことまでは分からないというケースもあります。

「わからないから任せっきり」

ではなく、わからないなら子どもと一緒に学びましょう。
別に子どもと同じSNSを利用する必要はありませんし、子どもに合わせてゲームや動画を見る必要もありません。

一番大切なことは「我が子を守る」ことです。

ネットでのトラブルはもちろん、子どもをスマホに依存させないために、スマホやネットのデメリットから子どもを守りたい!という強い気持ちさえあればいいのです。
保護者の方がテレビやネットで見つけた事件で気になることがあれば、それを話題にして、子どもはどう思っているのかを聴いてみるだけでもいいと思います。

保護者が分からないことを子どもに聞く。

保護者としての心配や不安は子どもに伝える。

など、日頃から話題にできることはたくさんあると思います。
中学生くらいになると、子どもも嫌がるかもしれませんが、常に話し合いができる環境が整えば、万が一子どもに何かあったときに打ち明けてくれるかもしれません。

家族間、親子間での情報共有は、即ちネットトラブルから子どもを守る最強のプロセスなのです。
我が子にスマホを持たせた以上は、わからなくても、嫌がられても子ども達に聞いて欲しいと思います。

我が子は保護者の意識をちゃんと見てる

長くなりましたが、保護者の方が子どものスマホ利用を見守るために必要なことを記してきました。
他にも細かい注意点はありますが、まずは子どもがスマホやネットを使っている様子をずっと眺めて欲しいと思います。

保護者がネットに詳しくなくても、使用している姿を親がじっと見ていることを意識するだけで、子どもも目線を意識すると思います。
逆に興味がない、わからないから注意できない・・・みたいな感じで。子どものスマホ利用に目線を向けなければ、子ども達は興味本位で自由に使うでしょう。

子ども達は、親や大人の行動を見ています。

手本になるようなスマホ利用を大人が見せることも大事ですが、それ以上に親が子どもを見ているという視線を意識させてください。

次回は第2回として、子ども自身がスマホ利用をどのように考えるべきかについて記したいと思います。