最近世界的に広がっている電動キックボードのシェアリングサービス。

いくつかのサービスが欧米の主要都市で展開されていますが、そのうちのひとつが「LIME」というサービスです。
LIMEは世界25カ国で展開されている代表的な存在です。

今年の5月にフランス、パリに行った際にまず驚いたことが、電動キックボードでした。
多くの若者が電動キックボードに乗り、パリの道路をスイスイと駆け抜けていく様子は日本では考えられない光景でした。

パリでは私も体験しましたが、思ったよりも簡単で、しかもそれなりにスピードが出るので、「これは快適で便利だなぁ」と本気で思いました。

そんな電動キックボードを日本で体験できるということで、97日(土)に、LIMEの試乗体験会が開催されまして、そこに私も参加させていただきました。

電動キックボード自体は数年前から日本でも紹介されていますが、日本の道路交通法もあり、公道で運転することはできません。

日本では原付バイクと同様に扱われるため、原付免許がなければ乗れませんし、ヘルメット着用は必須です。電動キックボード自体もウインカーやバックミラー、ヘッドライトの常時点灯などの条件があります。

今回の試乗会は、福岡市東区にある貝塚交通公園の一部を借り切って行われていました。

今回の試乗に使われていたのはLIME-SGeneration3.0という最新型の電動キックボードでした。

基本構造は同じですが、私がフランスで乗ったものよりも安定感と剛性感が増していたように思えます。

LEDヘッドライトや後輪タイヤにもブレーキが付くなど、より安全性が高められた仕様になっており、恐らく日本への導入を意識したバージョンなのでは、と思います。

電動キックボードに乗ってみた

早速新型のLIME-S Generation3.0に乗ってみました。
日本では原付バイクと同じ扱いですので、ヘルメットは必須です。

電動キックボードに片足を乗せ、最初は残りの片足で地面を蹴り出すようにしてスタートさせます。
キックボードが前進し、両足がキックボードに乗った辺りでハンドルにあるアクセルで速度調整を行います。

私も最初、パリで体験したときはスタートの感覚に少し躊躇してしまいましたが、すぐに慣れましたね。
あとはハンドルで方向を定めながら、アクセルで速度調整を行います。

止まるためのブレーキはハンドル左手に1カ所、そして新型では後輪に足で踏み込むブレーキが備わっています。

率直な感想ですが、街中の移動が凄く便利になるだろうということです。

最高速度は今回時速24km上限になっていたようですが、体験的には結構速度が出ていたような感じがしましたし、少なくとも街中の移動においては必要十分だと思います。

今回は試乗会なので、特に説明はありませんでしたが、実際に街中で乗るときには専用のスマホアプリが必要になります。

スマホアプリで周辺にあるキックボードを探し、そのキックボードに表示してあるQRコードをアプリから読み込めばロックが解除されます。

乗り終えたあとの処理も、利用代金の支払いもすべて専用スマホアプリで行います。

電動キックボードシェアの価値は

今後の社会が抱える問題や課題は山ほど存在します。

そういう中で、技術進化やイノベーションが従来の無駄を省き、効率化を進めることは一つの解決方法だと思います。

今回のキックボードシェアリングで解決されるであろう問題は、自動車による化石燃料消費の抑制や、排ガス対策等の環境問題が大きいでしょう。

そして都心部における人の移動効率を向上させることは、社会活動の循環を向上させることに直接的に繫がるのではないかと思います。

どんなに技術が進化しても、テレポーテーションやワープなんて実際にはできませんが、人や物の流れをよりスムーズにすることは可能だと思います。

つまり電動キックボードのシェアリングは、人の動きを軸にした社会活動を円滑に循環させるという大きな価値を創造するものかもしれませんね。

現在福岡市と千葉市が実証実験を行っていますが、福岡市では原付免許無しで、自転車と同じように乗ることができるよう特区申請をしているようです。

電動キックボードの課題とは

パリの中では多くの人が電動キックボードを利用していましたが、便利そうだなぁ。。。と思う反面、「危ないなぁ」と思うこともたくさんありました。

実際パリでも電動キックスケーターで死亡事故が発生したということなので、安全性や交通ルールの点で問題はあると思います。

そもそもフランスの法律でも電動キックボードは乗れないようになっていますが、パリでは実証実験として利用が成されているようです。

恐らく日本でも、道交法や交通マナーの点で、多くの問題が発生するでしょう。
ただでさえ飲酒運転やあおり運転など、マナー違反が社会問題になっているのですからね。

もう一つの課題はシェアリングに関するマナーでしょう。
福岡市ではメルカリが提供していた「メルチャリ」が、やはり実証実験として運用されていました。

ここでも指定の場所に戻さない、どこでも乗り捨てる、といった自分勝手なマナー違反が問題になっています。

(参考)シェア自転車の乗り捨て増加 福岡市、マナー向上呼び掛け
2019/2/14 6:00 西日本新聞 ふくおか都市圏版

都市中心部のみの展開だったこともあり、利用機会が限定的でしたから、マナーの徹底とまではいかなかったのでしょう。

電動キックボードに限らず、シェアリング活用に関するマナー向上と意識の定着が必要です。

イノベーションを止めないために

電動キックボードシェアリングが抱える問題の多くは、それを利用している人間の問題が大きいのだと思います。

それはインターネットでもそうですし、スマートフォンでも同様のことが言えます。

世の中の問題を解決するために、いろんなところで取り組まれている技術革新や努力がなされている一方、自分勝手な考えや行動で、台無しにしているのかもしれません。

生み出された技術革新を、これまでの生活にアジャストしながら実用化を進めていくことは、私たちのこれからの生活を楽にしてくれるのだと思います。

特にIT系だと専門用語も多く、広く理解されにくいところがあるかもしれませんが、使ってみると便利で、あっという間に定着することは、スマートフォンの普及でもよく分かります。

今回の電動キックボードも、課題はまだまだ多いかもしれませんが、実用されれば多くの利用者を生むと思います。

そのためには、新たな技術に向き合う私たち人間もルールを守る意識や相手を思いやるマナーを磨かなければいけませんね。