6月8日(土)、福岡市博多区の席田小学校にて児童向けおよび保護者向けの講演でお話しをさせていただきました。
席田小学校での講演は6年目で、何度もお声掛け頂いている学校です。
例年、講演においては事前アンケートをお願いしており、今回も学校、PTAにお願いをしてアンケートを集めていただきました。
アンケートといってもシンプルで、
「スマホにとても詳しい人が来るけど、聞きたいことありますか?」
の一つだけ。
子どもたちはスマホやネットに対する素朴な疑問を書いてくれているわけですが、この子どもたちの疑問は毎年変化があります。
その変化や傾向から、話のポイントを選び、児童や保護者の方に向けてお話しさせていただいてます。
この数年変化するアンケートの内容と傾向
このアンケートは他の学校でも行っていますが、昨年後半辺りから感じている傾向として言えるのが、
「子どもがやたらとネットの危険性を気にしている」
ということです。
以前は、
「どんなネットゲームが流行りますか?」
「YouTubeでどんないいことができますか?」
というような、ある意味子どもらしい、ネットやスマホを憧れの対象として受け止めている内容の質問が多かったものです。
しかし最近では、
「小学生がスマホを持つことがなぜいけないのか」
「LINEで書いたことは二度度消えないのは本当か」
みたいな、トラブルやリスクが前提で書かれている質問が圧倒的に多いと感じます。
今回の席田小学校でのアンケートでも同様の傾向は見られました。
ここから分かることは、
・子どもたちはスマホやネットに対して必要以上に怯えている
・スマホやネットが危険であるということに本当は納得していない
ということだと思います。
そしてご家庭や学校で、「スマホは危険だ!」「ネットは怖い」・・・だからダメよ!
という筋の指導(説教)というものが行われているのでしょうか。
少し前は「目が悪くなるよ!」とか「頭が悪くなるよ!」みたいなことがどのご家庭でも言われていたようですが、「親の小言」にも変化が現れているのでしょうね。
皆様のご家庭ではいかがですか?
脅しと指導は紙一重
スマホやネットが青少年に対して悪影響を及ぼすといった風潮が定着し、世界中でスマホやネットの適正利用が叫ばれるようになりました。
特に日本は、早くからネットへの警鐘が鳴らされており、若者に向けた情報モラル指導は全国で積極的に行われています。
ただ相変わらず感じるのは、トラブルやリスクの問題点が採り上げられるだけで、具体的な指導までなされていないという現状です。
数年前までは、「子どもにスマホを持たせるな」という指導が好まれていましたし、私自身も講演を続けるに当たっては様々な議論を行いました。
子どもにスマホを持たせなければ、ネットをさせなければトラブルに遭わない!
という理屈は極論で、交通事故を無くすために車に乗るな!といっているようなものです。
最近ではスマホの普及を止めることはできないし、現実的ではないという「諦めの境地」に近い感じで受け止められているのではないでしょうか。
そのせいか、適正な指導よりも、トラブルに遭ったときに怖い話ばかりに終始する指導に偏ってしまっている感じもします。
アンケートの傾向を見ると、ある意味「ネット怖がらせ作戦」が効果を発揮しているとも言えるでしょう。
ただこの「怖がらせ」や「脅し」みたいなことを言い続けることは指導と言えるのでしょうか。
子どもにトラブル事例をずっと聞かせる指導は、ひとつの知識習得として間違っていませんが、子どもたちを納得させ、理解させるには至らないのです。
脅しは指導ではありません・・・。
リスクよりもメリットを意識した情報モラル指導
最近の子どもたちのアンケート傾向から、最近のご家庭での指導が「リスク訴えパターン」になりつつあるという予測ができるわけですが、それではどのような指導が適切なのでしょうか。
スマホやネットのサービスが常に進化しており、それに伴ってコミュニケーションの変化も早くなっているということを踏まえると、最良の指導法もその時々で変化し続けます。
つまりメリットであれデメリットであれ、その場その場、目先の注意だけでは不十分だということです。
視点を広げ、社会の公器としてのインターネットをどのように利用するべきなのか、そしてアクセス端末であるスマホをどう使いこなすべきなのか、という「適正な使い方」を指導することが大前提であり根本の考え方だと思います。
「LINEの怖さ」よりも「LINEの便利機能」を教える方が、能動的で前向きな感じがしませんか?
LINEの怖さをひたすら訴えて、子どもたちが本当に納得できると思いますか?
それは「脅し」として一時の効果はあるかもしれませんが、適正利用に直結するでしょうか?
このようにYouTubeやTwitter、あらゆるインターネットサービスでも、リスクよりもメリットを前提に話し合う方が適切だと考えます。
それぞれの家庭事情や、子どもの性格的なことなど様々な状況もありますから、ひとつの方法やルールでまとめることができないのは百も承知ですが、少しでも子どもがその気になってくれる指導やコミュニケーション重ねる努力は必要です。
まずはトラブルやリスク回避一辺倒の情報モラル指導から脱すること・・・
それが今後の情報モラル指導の在り方だと私は考えます。
そういうことを目指しながら、今後もアンケート活動やインタビュー取材等を重ね、どうすれば子どもたちが納得してくれる情報モラル指導ができるのかを常に考えていくつもりです。
そしてそのヒントやアイディアを保護者の皆様を中心とした「大人」の皆さんで共有できればと思います。