前回までの記事で、SNS活用の醍醐味について、私の事例をご紹介しながらお伝えしました。
ご紹介した事例は、外国人と友だちになれたこと、国や言葉がは違っても同じ趣味や価値観を共有できることなど、ある意味典型的なSNS活用だと言えます。
しかし「スゴいでしょ!」ということだけを話しても、それだけでは情報モラルの指導には足りません。
事例にあるような行動や交流が、自分自身にどういう影響を与えたのか、その結果、どのようなSNS活用が必要なのか・・・という気付きを起こさせることが大切です。
子どもたちへの情報モラル指導のためには、SNS活用の醍醐味から、教授されるべきメリットを抽出し、誰でもが分かりやすい形で伝えなくてはなりません。
今回は、SNSの醍醐味、そして教授されるメリットを、どのようにして情報モラル指導に活かすかを考えてみたいと思います。
なぜSNSのメリット説明が必要なのか
SNSやスマホに限ったことではありませんが、そもそも便利なツールは、私たちの社会活動や生活の一部を効率よく、快適にするに生み出されますし、普及していきます。
それは家電製品にしても自動車にしても、使用するメリットがあればこそ広く普及していくのです。
インターネットやスマートフォンは、歴史は短いながらも私たちの生活を格段に向上させ、だからこそ急速に普及しています。
つまりインターネットやスマートフォン、SNSも歓迎されるべき存在なのです。
そういう中で、子どもたちへの情報モラル指導において、現在大多数を占めている「リスクを訴え続ける指導」というのは、矛盾を孕んでいます。
つまり本来の目的であるメリットをアピールし、その適正な使い方を指導すべきなのに、いきなり問題点の抽出やリスク回避から入るものですから、聞く側からすれば混乱します。
お子様が小さい頃、自転車に乗る練習をする際に、転んだ時のことや怪我をした時の話ばかりしていましたか?
練習を重ね、励ましながらなんとか自転車を乗れるようになることを優先させていたはずです。
私は順序として、SNSのメリットを説明し、理解させることが先にあるべきだと考えます。
子どもに伝えるべきSNSのメリットとは
それでは子ども達に説明すべきSNSのメリットとはどういったものでしょうか。
まずはSNS(ソーシャル ネットワーキング サービス)は、インターネットを介して不特定多数の人が繫がることができるサービスであることを定義すると、SNSのメリットはいろんな人が繫がることが目的=目標ということになります。
その結果として、多様な知識や情報を共有できたり、時間や地理的要因を飛び越えてのリアルタイムかつ迅速な対応が可能になります。
その他、SNSによって享受されるメリットは大小多数存在するでしょう。
数あるメリットの中で、現在の子どもたちが将来社会人になるためのスキルとして紹介すべきことを、次の様に挙げてみました。
・世界中の人と交流することができる
・これまで知らなかった知識を身に付けることができる
・自分の考えや意見を、他の人に伝えることができる
・家族や友だちなど、身近な人との連絡ができる
シンプルですが、子どもたちへ話すステップとしてはこれくらいでいいでしょう。
こうして改めてみると、当たり前のような話ですが、それすらも伝えていないのが現状ではないでしょうから、改めて明確に説明することは大切だと思います。
そしてこれらは同時に、社会人になるための基礎的スキルを引き出すことにもなるのです。
SNSのメリットを、自分の力に変えるために
さて上記のメリットを享受するために必要となる情報スキルとはどういうものでしょうか。
シンプルにいうと、
・コミュニケーションのチカラ
・学ぶ(知る)チカラ
・伝えるチカラ
・調整するチカラ
いかがでしょう。
これらのスキルは、これからの情報化社会を生きていく社会人として必要なスキルではないでしょうか。
私としては、SNSを活用することによって、これらのスキルを磨くことができるのではないかと考えています。
つまりSNSの利用をスキルアップのトレーニングの場とするという考え方です。
SNSにはたくさんのメリットがあり、それを享受するためには一定の情報スキルが必要。だからSNSを利用するということは、将来の自分を作っているといっても過言ではないでしょう。
例えば「伝えるチカラ」を身に付けるには、言葉づかいが重要だ・・・みたいな感じで、学年に合わせた目線でSNSのあるべき使い方を提示していくことになるでしょう。
単にSNSの醍醐味やメリットを掲げて「どうだ!SNSって素晴らしいだろう?」みたいな話をするつもりもありません。
SNSを正しく使うことの一番の理由は、
「SNSを正しく使うことで、将来社会で活躍できる力(情報モラル)を身に付けることができる」
という視点を子どもたちに提示することが必要だと考えています。
SNSだけではなく、複合的な要素も必要
もちろん、人間関係や思春期成長期にある人間の心の葛藤は単純なものではありませんから、SNSのメリットだけで、社会性や人間性が作られるとは思っていません。
SNSやインターネット以外の活動や経験を増やしたり、顔を向き合わせたリアルな会話や交流など、オフラインでのメリットとスキルを複合的に伝えるべきでしょう。
そのためにも、「SNSやスマホは専門家に任せる」とか「人権は人権で」といったカテゴリーで縛るのではなく、関わるみんなで協力し、様々な要素を掛け合わせて、これから未来の社会作りや人間育成に努めることができれば最高だと思います。
今回はSNSのメリットと情報スキルをどのように提示するかについてお話ししました。
次回は逆に、デメリットとリスク回避についてどのように指導するべきかについてお話ししたいと思います。