座間9遺体:SNSで女性物色 「一緒に死のう」誘われた
なんともおぞましい事件が発生しました。

容疑者の自宅で短期間に9名もの遺体が発見されたということで、近年稀に見る猟奇的な殺人事件に発展しそうです。
この事件で逮捕された27歳の容疑者は、ツイッターをはじめとするSNSを利用し、自殺願望を持っていそうなユーザーに接触したようだと報道でも伝えられています。
これは私の想像ですが、容疑者は自殺願望者の思考を逆手に取り、巧妙に誘い出しては自分の欲求の元に手を下してたのだと思われます。つまり確信犯です。こういう事件は容疑者の責任能力が問題になりますが、確信犯でなければここまで論理的にことを進めることもできないでしょう。
この点は今後の操作で真実が明るみになると思いますが、報道の中で「SNS」というキーワードが登場していることで、いくつかお問い合わせをいただいていますし、我が子やご自身がSNSを利用されている方にとっても気になる事件ではないかと思います。
視点としては、2つあり、

(1)SNSユーザーの中には犯罪を犯しかねないユーザーがいるということ。

(2)自殺願望や深い悩みを持ち、SNSを拠り所にしているユーザーがいるということ。
1については、顔が見えないネットコミュニケーションにおいては常に付いて回ることであり、「いつ、どこで不審者に出会うかもしれない」というリアルでもおなじみのリスクです。そしてこの手のトラブルが被害としては大きくなりがちです。

しかしこういう不審なユーザーを警戒し、相手にしなければほとんどのトラブルは回避できますので、ここは啓発を重ねていくことで対処は可能でしょう。
2については様々な悩みを持ったユーザーの逃げ道としてSNSを利用しているということですが、これは結構深刻な問題でもあります。なかなか親や周囲の友人に相談できずにいる思春期の子供や若者もたくさんいるとは思いますが、ネットネイティブな若者にとっては、「ネットは世界」そのものです。

「ネットは基準」

「ネットは常識」

「ネットは万能」

だから誰かが助けてくれる…なんとかしてくれる…と、考えても不思議ではないでしょう。
たられば、になりますが、もし今回命を奪われた9名が、ネットではなくもっと身近なところで問題解決の努力をしていたならば…

心の弱みに付け込んだ容疑者の毒牙にかかることはなかったかもしれません。

今回の事件はある意味でSNSリスクの側面を証明してしまいましたし、情報モラルだけで対処できない様々な問題を示唆しています。
私もこれまでの講演においてもインターネット、ことSNSによるメリット、デメリットについてはお話を続けていますし、意識的にも無意識的にもトラブルが起きてしまうリスクもお伝えしているつもりです。
インターネットやSNSでは知らない人と繋がらない、だとか自分のプライバシーに関わる話はしないなどの対応は当然ですが、自分の悩みや感情の矛先をインターネットやSNSにぶつけないといった「SNSとの関わり方」についてももっと具体的かつ突っ込んだ指導が必要だと思います。

Youtubeはテレビ番組と等しく、ユーチューバーは夢の職業である今の子供たちにとって、インターネットとは何なのか?SNSとはどうあるべきなのか?

「今」だけではなく、5年後、10年後・・・つまり現在の小学生が(自動的に)社会人になる時に役立つことを見据えた、「未来の情報モラル」というものを意識しなければなりませんし、それを具現化することが私達大人の使命だと思います。