校長先生の家訓
先日、講演で伺ったある小学校の校長先生が、ご実家から福岡に出てくる際に、お父様から説教と家訓を授けられたそうです。
なんでも校長先生のご実家では「漢字」というものを大事にされているとのこと。そこで家訓として与えられた文字は「臭」という一文字だったそうです。
私自身そうですが、「臭」という文字は、「臭い」とか「臭う」という言葉が連想され、そこまでいいイメージがありませんね。しかし「臭」という一文字がなぜ家訓なのか・・・。
さらに校長先生のお話を伺うと、「臭」という文字は「自」と「大」という文字に分けられる・・・つまり「自分を大きく見せるから臭うんだ」というお話だったそうです。それ故にこれまでの人生の中で物事の判断をする際に、「あ、これは自分の身の丈にあっていることかな?」「ん?これは自分を大きく見せてしまってるんじゃ無いのか?」と自問するようになったとのことです。
このお話を聞いた途端に、私がいいイメージを持っていなかった「臭」という文字の意味が広がり、全く違う印象を持つようになりました。このように漢字というものには、たった一文字でもいろんな意味合いがあることを気付きましたし、改めて文字というものの影響力を知らされました。
言葉のイメージでLINEも変わる?
さて、現在大人も子どももコミュニケーションの主流はLINEやメールといったテキスト主体のコミュニケーションにシフトしています。タイミングや場所を選ばないコミュニケーションというのは便利で楽しいものですが、一方で文字や文章の省略化が進み、独特な言い回しが広がっているわけです。
これはコミュニケーションの形が内容よりもタイミング重視となり、いかに早く返信するかが優先事項になっている表れでもあります。講演の際もお話ししていますが、レスポンス重視となれば、言葉の省略可やスタンプの多用が進み、しっかりと内容が伝わらない可能性もあります。内容が正確に伝わらない結果、対人トラブルに発展し、最悪いじめなどに繫がっていくこともあるのです。
さきの校長先生の家訓である「臭」という文字も、意味合い一つでイメージが変わってしまうのですから、LINEでもメールでも言葉選びや文章の書き方を気をつけるだけでも、誤解が減り、トラブルも少なくなるのではないでしょうか。
正しい言葉を選び、正しい文法で書く(入力する)・・・つまり「言葉のリテラシー」というものは、スマホやSNSでのコミュニケーションが当たり前になった現在ではより重要です。
子ども達に言葉のリテラシーを指導するためには、まずは大人の我々が言葉遣いに気をつけること・・・まずはここからでしょうね。
私も含めて・・・。