先日よりブログでお伝えしていましたとおり、5月22~28日にフランス、パリに行って参りました。
そこで学んだことや感じたことを「情報モラルとフランス」という観点で、いくつかの記事にまとめたいと思います。
パリ市内を駆け巡る電動キックボード
私は昨年もパリを訪れていますが、今回大きな印象に残っていることは、電動キックボードのシェアです。
今回の宿に着き、食事に出かけるところから帰国の間際まで電動キックボードがパリ市内を駆け巡る様子を常に目の当たりにしていました。
その中でも多く見かけたのは「LIME」というアメリカの電動キックボードシェアリングサービスです。
どうやら昨年6月よりサービスインしているようで、道理で見たことなかったはず。
電動キックボードのシェアリングはLIME以外にも複数のサービスがあるようで、私が確認しただけでも4社くらいは存在していました。
シェアリングサービスということで、最近日本国内でも見かけることが増えた自転車のライドシェアみたいなもので、街中にある電動のキックボードを登録したアプリで手続きをし、移動手段として利用する流れになります。
ただ電動キックボード自体は公道で運転できるケースは少なく、ヨーロッパでも数カ国しか利用できないとのこと。
パリ市内では18歳以上であれば運転免許証の有無に関係なく乗ることができます。
フランスの道交法によれば、電動キックボード自体の公道運転は「違反」らしいのですが、エコロジー等の観点から現状ではシェアサービスに限り、公道走行が「黙認」されているとのことでした。
(参考)キックボードlimeにパリは運転免許不要だけど公道走ると道路交通法違反?
つまり、事故等の危険性もあるから違法ではあるものの、便利な道具ではあるし、法整備を行っている最中なので、様子を見てみよう・・・みたいな感じなのでしょうかね。
そんな事情を知ってか知らずか、パリの街中では大勢の人が”便利そうに”電動キックボードに乗っていたのが現状です。
便利な道具は正義か?
さて、このパリにおける電動キックボードシェアリングですが、便利に利用される一方、安全性やモラルの点で不安要素を拭うことができません。
実際、私がパリ滞在中にも危ない!と思えるシーンに何度も出くわしましたし、禁止である2人乗りをしているところも見かけました。
「便利な道具なんだから、自由に使えばいいじゃない」
そんな声が聞こえてくるかのように・・・・。
確かに車社会への警鐘やエコロジーの意味合いからすれば、電動キックボードのシェアリングは歓迎すべき存在だと思います。
それだけに危険運転すれすれだったり、(シェアリングとはいえ)街のあちこちで雑に放置されている状況は非常に残念です。
非常に便利で、私たちの生活を画期的に変えてくれるような技術や仕組みは、すべての人が歓迎すべき使い方を目標にするべきだと思いますし、独りよがりな使い方は、折角の技術革新とその貢献を台無しにしてしまいます。
便利な道具は、正しく使ってこそ“正義”なのだと思います。
便利スマートフォンやインターネットであるために
そんなパリでの電動キックボードのシェアリングの状況は、スマートフォンやSNS等のインターネットサービスの状況と重ねることができます。
電動キックボードよりも早く、そして世界中に定着したインターネットですが、20年以上の積み重ねを得ても問題が絶えることはありません。
そしてインターネットへのアクセス装置であるスマートフォンも多くの懸念を抱えたままです。
しかしこれらの問題は、インターネットという仕組みやスマートフォンというツールの問題ではなく、それを使用する人間に起因する問題の方が大きいと言えます。
電動キックボードの場合、危険行為やマナー違反は目に見えて分かりますが、インターネットやスマートフォンの問題点は見えにくい(気付きにくい)のが現状です。
パリでの電動キックボードに、利便と危険の両方を感じたじたことを、インターネットやスマートフォンの使用に置き換えて、どうすれば利便を向上させ、危険を減少させるのかを考えなくてはなりませんね。
仕組みやツールは技術革新により、今後も改良と進化を遂げていくでしょう。
しかしそれを扱う人間のモラルや技術が向上しなければ、人間同士のコミュニケーションや社会通念にも悪影響を及ぼすかもしれません。
重ねて言いますが、便利な道具は正しく使ってこそ“正義”です。