皆様こんにちは。
株式会社伝えるを考える 置鮎です。
毎年7月の夏休み直前は、情報モラル講演の機会が多いのですが、今年も新型コロナの感染者数増加の伴い、中止や延期があり、件数としてはそこまで多くありませんでした。
そんな中、7月29日(金)のKBCテレビで人気の情報番組「アサデス。」にて、スマホや情報モラルに関するお話をさせていただきました。
こちらから番組の動画を視聴することができます。
要注意!スマホに届く見知らぬ画像【アサデス。】
中高生にとっても夏休み前というこのタイミングに、朝のテレビで採り上げていただけるのはありがたいことだと思います。
今回お話しさせていただいたのは、iPhoneで行われるAirDrop(エアドロップ)に関する注意喚起でした。
AirDropとは
AirDropという機能は、iPhoneまたはiPadなどのアップル製品同士で行われるデータ共有機能で、多くの場合、画像の送受信に使われます。
例えば自分のiPhoneに保存されている画像データを、家族や友人のiPhoneにその場で送信できるわけですが、LINEやメールなどを使わなくても、手軽にデータ送信ができるということで、多くの方が利用している機能です。
AirDropでは、画像だけではなく、WEBサイトのURLや地図情報、連絡先まで共有することができます。
ただこの手軽で便利な機能を利用して、不適切かつ不快な画像を送りつけるというトラブルが発生しています。
例えば、同じバスに乗っているiPhoneユーザーに対してAirDrop機能で一方的に画像を送りつけることができ、それを受け取った人が、画像を見て不快な思いをするというトラブルです。
そして送りつけたバスの中の「誰か」は、相手の反応を見て楽しんでいたりもするんですね・・・いい迷惑です。
その画像が卑猥な写真で、相手に性的不快感を与えたのなら、それは痴漢行為と変わらず、そのためこうした一連のトラブルを「AirDrop痴漢」と呼ばれることもあります。
このトラブルは2018年頃から表面化しており、アップルも様々な対応をしているのですが、最近でも
「お小遣いあげます」
「儲け話あります」
「パパ募集」
といった社会問題になっているパパ活や売春、お金に関する「誘い文句」を画像化し、送りつけることがあるようです。
問題はiPhoneだけではない
本来であれば大変便利な機能であるAirDropは、iPhoneをはじめとするアップル製品だけの機能です。
それではAndroidのスマートフォンなら大丈夫なのか?といえば、そうではありません。
実はAndroidスマートフォンでも「ニアバイシェア」という機能が実装されています。
スマートフォンの機種やAndroidのバージョンにもよりますが、基本的にAirDropと同様のデータ共有が可能です。
このニアバイシェアについては取材時にお話ししていたのですが、今回のテレビでは、尺の関係でカットされていました。
とにかく、Androidでも同じことは起きる可能性があることは、知っておくべきですね。
不要なデータ共有トラブルを防ぐために
番組でも紹介されていましたが、こういったAirDropでの画像共有被害を防ぐための設定は2つです。
一つはAirDropやニアバイシェアの共有設定を変更することです。
・iPhoneの場合
(1)設定をタップし、「一般」を開く。
(2)「AirDrop」を開き、公開設定を選択する
「受信しない」→AirDropによるデータの送受信はできません。(一番安全) 「連絡先のみ」→連絡先に登録されているユーザーのみ送受信が可能。 「すべての人」→どのiPhoneやアップル製品でもデータの送受信が可能。
安全に使いたいなら、常時「受信しない」にしておくことをおすすめします。
しかし頻繁に友人や家族間で写真の送受信を行っているのであれば、「連絡先のみ」でもいいでしょう。
やりとりをしたい相手を連絡先に登録しておくことが必要です。
「すべての人」は、例えば目の前にいる人や、相手が誰だか分かっている際のデータ送受信の場合、一時的な対応として利用しましょう。
データの送受信が終われば、「受信しない」または「連絡先のみ」に設定変更しましょう。
毎回設定変更が面倒くさい!という方は、少しだけ簡単に設定変更できる方法をお伝えします。
(1)通常画面から「コントロールセンター」を呼び出します。
ボタンなしのiPhoneであれば、画面の右上から画面中央に向かって斜め下にフリックします。
iPhoneSEや8などのボタンがあるiPhoneは、画面の下から上に向けてフリックすることで、コントロールセンターが表示されます。
(2)コントロールセンターの左上、Wi-Fiのマークがあるあたりを長押しします。
するといくつかのショートカットボタンが表示されますので、AirDropボタンをタップすると、AirDropの公開設定が選択できます。
・Androidスマートフォンの場合
(1)設定をタップし、「接続済みのデバイス」を開く。
(2)「接続の設定」をタップし、「ニアバイシェア」をタップ。
ニアバイシェア画面で、スイッチのオン/オフの切り替えができます。
また「デバイスの公開設定」で公開設定を選択できます。
「非公開」→ニアバイシェアによるデータの送受信はできません。(一番安全) 「連絡先」→連絡先に登録されているユーザーのみ送受信が可能。 「全ユーザー対象」→どのAndroidスマートフォンでもデータの送受信が可能。(iPhoneは不可)
安全に使いたいなら、常時「受信しない」にしておくことをおすすめします。
スマートフォンの名前表記を変更しておくこと
AirDropによる被害を防ぐもう一つの方法は、スマートフォンに登録されている名前を変更しておくことです。
最初にスマートフォンを登録した際、多くの場合は自分の氏名が使用されています。
ここでの氏名が女性の名前であれば、卑猥な画像を送られやすいので、女性の方は男性の名前にしたり、女性とはわかりにくいニックネームに変更することをおすすめします。
ここでトラブルがなくなるわけではありませんが、見知らぬ相手に情報を与えないことは大切です。
・iPhoneの場合
画面の「設定」をタップし、「一般」を選択。
そして一番上の「情報」をタップし、一番上の「名前」をタップすることで、表示する名前を書き換えることができます。
・Androidの場合
(1)設定をタップし、「接続済みのデバイス」を開く。
(2)「接続の設定」をタップし、「ニアバイシェア」をタップ。
ニアバイシェア画面で、「デバイス名」をタップすることで、表示する名前を変更することができます。
一番大事なことは、「相手の誘いに乗らないこと」
これで皆さんのスマホがAirDropやニアバイシェアによる被害はほぼなくなると思います。
ただそれでも、設定変更し忘れたりして、AirDropなどのメッセージが届くかも知れません。
そういう場合に、特に学生や子どもの場合、一番気をつけて欲しいことは、
「絶対に相手の誘いに乗らないこと」です。
AirDropなどで送られてくるメッセージの多くは、いたずらや犯罪など、皆さんの安全を脅かすものだと思います。
たとえ面白そうな内容や魅力的な誘い文句であったとしても、絶対に応対してはいけません。
悪いことを考えている人は、近くにいる人に対して無作為にデータを送信し、それに引っかかる人・・・つまりだまされやすい人を探しているのです。
パパ活だとかが社会問題になっていますが、単にお小遣いをくれたり、ご飯を食べるだけみたいな都合のいいことは絶対にありませんから、興味があっても、自分なら大丈夫と自信があったとしても、絶対に相手にしてはいけません。
本当にいい人だったら、AirDropみたいなコソコソしたやり方なんてしませんから・・・
「今日」の安全意識は「未来」のためになる
さて今年も夏休みの時期になりましたが、学生にとっては自由な時間が増え、スマホやネットに触れる時間も多くなるかも知れません。
しかし子どもや学生をだますような悪い人は、そのことを知っています。
皆さんは自宅にいても、誰かに狙われてしまうようなこともあるかも知れません。
夏休みの最初に、ぜひ家族みんなでスマホやネットに使い方について話し合ってください。
今日改めて感じた安全意識は、皆さんの未来へのスタート地点となります。
大人になってからでいいや・・・みたいに馬鹿にしたり面倒くさがると、そのツケは皆さんの将来に巡ってくるかも知れませんよ。
まずは今回のAirDrop被害に遭わないよう、注意して欲しいと思います。
子どもたちが事件やトラブルに巻き込まれないことを切に願っています。