知人女性のスマホを遠隔監視アプリで覗き見 公益財団職員の男逮捕 福岡
スマホ監視アプリを使っての不正アクセス事件が福岡で起きました。
ある女性のスマホに勝手に監視アプリをインストールし、その後女性のスマホのSNSやメール、画像などをのぞき見していたようです。
スマホ監視アプリとは
スマホ監視アプリというのは、他人のスマホに分からない形で閲覧あるいはリモートコントロールできるもので、多くは保護者が子どものスマホ使用を監視したり、会社が社員に貸与したスマホの使用状況を監視するために使用されているようです。
自分の、あるいは他人のスマホをリモートコントロールできることは多くの方がご存じだと思います。
その代表例がiPhoneやiPadでもおなじみの「iPhoneを探す」というアプリですね。
このアプリとiCloudという会員登録の仕組みを利用し、自分のスマホがどこにあるかを特定できるものです。
Androidも同様ですし、ドコモなど大手通信キャリアもスマホ監視サービスを行っています。
つまり「スマホ監視アプリ」というのは、そもそも不正な操作を監視したり、紛失時の対応など、正当な役割を担っているのです。
スマホ監視アプリは上記のメーカーや大手キャリアが提供している以外にも様々なアプリが存在します。
その多くは本来推奨されない使い方にてインストールが行われるため、基本的には自己責任での利用となります。
またインストールされた方のスマホには、アプリの存在を示すアイコンや痕跡もないので、発見することも不可能に近いと思われます。
不正アクセス
今回の事件では、その監視アプリを特定の女性のスマホに無断でインストールし、その女性のスマホの使用履歴を勝手に閲覧したということで、不正アクセスの罪に問われています。
正当な目的を持った監視アプリを、ストーキングといえるような行き過ぎた使い方をしたことは残念でなりません。
また記事からは「名刺管理アプリをインストール」するといいつつ、監視アプリをインストールしたように見受けられますが、相手の了解があったとしても、本来の目的と異なるアプリをインストールすることは相手の承諾を得ていないのと同意です。
つまり相手に許可無くスマホ利用履歴を閲覧したり、アプリをインストールしたことで不正アクセスの罪で逮捕されたわけです。
深刻な情報モラル欠如
今回の事件は、加害者の行動に大きな問題があることは当然ながら、被害にあわれた方にも課題あったことを示しています。
加害者に関していえば、情報を無断で盗み見しようとした点で理性も情報モラルも欠けています。その上、スマホアプリをインストールする〜WEBで遠隔監視を行う、という一連の行為は、証拠を残しながら犯罪を犯しているようなもので、ネットの知識やリスクの意識が低いとしかいえません。
もっともこの犯人の男性は4月にネットでの強要未遂容疑にて逮捕されているということで、そもそも社会人としての意識が欠如しているのでしょう。
被害者はどうでしょうか。
被害に遭われた女性は、犯人の男性を信用していたのでしょうから、スマホのアプリインストールも委ねたのだと思います。
今回はその「信用」が仇になってしまったわけですが、そういう意味では被害者に落ち度はありません。
しかし、他人にスマホ操作の権限を任せてしまったことが、結果犯罪に繫がったのであれば、被害者の女性ももっと慎重であった方が良かったのかもしれません。
今回の被害者に対して情報モラルが欠けているとは思いませんが、想像以上のリスクが常に存在していることを、もっと認識すべきだったかもしれません。
今回の事件における対策
今回のような事件を防ぐために、私たちはどのような意識を持つべきなのでしょうか。
その点については、本日KBCテレビのニュース番組「シリタカ」にてコメントを提供させていただきました。
具体的対策としては、当然のことなのですが、
・置かない
・貸さない
・フリー(な状態)にしない
と簡単に答えさせて頂きました。
置かない
ファストフード店、学校や会社の机の上などにスマホやPCを放置したまま離席する人をたまに見受けます。その間に誰かがスマホを操作することがあるかもしれません。周囲の目があるので、誰も扱わないだろう、という安心感がそうさせるのかもしれませんが、現代人にとってある意味財布より重要なスマホを放置することはとても危険なことです。
なので、どこでもここでも置かないこと。スマホはできるだけ自分の目が行き届く範囲に携行して欲しいと思います。
貸さない
基本的に自分のスマホは他人に使わせてはいけません。もちろん家族や友人など親しい間柄であれば問題は起きないでしょう。しかし今回の事件のように信用していた人が犯行に及ぶケースがあることを考えれば、親しい仲でも他人に委ねてしまうことはリスクであることを認識した方がいいと思います。
勝手に使わせることなどもっての外です。
アプリのインストールなどスマホの操作をお願いする際は、任せっきりにするのではなく、できるかぎり同席した方がいいですね。
フリーにしない
この「フリー」には多くの意味合いが含まれますが、大切なスマホを誰でもが使えるような「フリー」な状態にしないということをイメージしています。
例えば画面ロックなどのセキュリティ機能を解除してしまうこと・・・これは大きなリスクです。
毎回パスワードを入力するのが面倒・・・という理由で画面ロックをかけていないとか最悪です。画像やSNS履歴を見られることもあれば、今回のように知らぬ間に不要なアプリをインストールされてしまうこともあるかもしれません。
スマホのセキュリティには十分配慮すること、少なくとも画面ロックだけはかけて欲しいと思います。
さて長文となってしまいましたが、今回のような不正アクセスは卑劣かつ残念な事件です。
そしてネットやスマホの普及が、想像できなかったトラブルを広げつつあることを改めて認識させられました。
インターネットやスマートフォン、SNSは、基本的には性善説に基づいて利用されています。
これだけ便利なツールなのだから、悪いことに使う人はいないだろう・・・・しかし現実は違います。
どういう人間関係であったとしても、ネットでの繋がりが発生する以上はリスクも発生することを改めて意識すべき時代になっているのです。
とはいえ他人にいつも疑いの目で見ることや、必要以上の警戒感を持つことは、私たちの社会や未来においては不利なことでもあります。
まずは「自分のスマホは自分が守る!」という意識を強くし、隙を見せない努力をすることが大事でしょう。
そしてメリット/リスクをわきまえた情報機器利用ができるといいのではないかと思います。
今回のような事件が再度起きないよう、私もいろんな方面でお話しさせていただく所存です。